改正航空法の飛行ルールでは無人航空機の飛行方法として6つの飛行方法を定めています。このページではイベント会場上空(祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行)を飛行させる際のポイントを解説していきます。
飛行ルールで定めている6つの飛行方法とは
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと←現在のページ
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
ドローンでイベント会場の上空を飛行または空撮するには
イベント会場の上空を飛行する際にはいくつかの注意事項があります。とくに観客などが集まるイベントでは絶対に守らなければならないこともあるので、イベント撮影などにかかわる場合にはドローンパイロットだけではなく、サポートスタッフへの周知も徹底して行うようにしてください。
ドローンは第三者の上空(観客等の上空)は飛行できない
許可・承認申請の項目にもあるように、”人又は物件から 30m以上の距離が確保できない飛行・催し場所上空の飛行”には許可承認を必要とします。また、やむを得ず人の上空を飛行させる場合には基準に適合させれば飛行は可能です。
すべての要件を満たすのは現実的ではありませんが、国土交通省の無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領より引用しておきます。
やむを得ず、第三者の上空で最大離陸重量 25kg 未満の無人航空機を飛行させる場合には、次に掲げる基準に適合すること。
a)機体について、次に掲げる基準に適合すること。
ア)飛行を継続するための高い信頼性のある設計及び飛行の継続が困難となった場合に機体が直ちに落下することのない安全機能を有する設計がなされていること。当該設計の例は、以下のとおり。
- バッテリーが並列化されていること、自動的に切替え可能な予備バッテリーを装備すること又は地上の安定電源から有線により電力が供給されていること。
- GPS等の受信が機能しなくなった場合に、その機能が復帰するまで空中における位置を保持する機能、安全な自動着陸を可能とする機能又はGPS等以外により位置情報を取得できる機能を有すること。
- 不測の事態が発生した際に、機体が直ちに落下することがないよう、安定した飛行に必要な最低限の数より多くのプロペラ及びモーターを有すること、パラシュートを展開する機能を有すること又は機体が十分な浮力を有する気嚢等を有すること 等
イ)飛行させようとする空域を限定させる機能を有すること。
当該機能の例は、以下のとおり。
- 飛行範囲を制限する機能(ジオ・フェンス機能)
- 飛行範囲を制限する係留装置を有していること 等
ウ)第三者及び物件に接触した際の危害を軽減する構造を有すること。
当該構造の例は、以下のとおり。
- プロペラガード
- 衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーの装着 等
ア)・イ)・ウ)の例のようにそれぞれについて一つずつで良いので基準に適合していれば”やむを得ず飛行する”際の基準に合致していることになります。ただここで勘違いしていただきたいのが、”飛行してもよい”のではなく”その経路を飛行しなければならない理由(事由)がある”場合にのみ飛行が許されているということなんです。
やむを得ず飛行する場合の適合例
- ア)バッテリーが並列化されている
- イ)GPS等以外により位置情報を取得できる機能を有する
- ウ)プロペラガードを装着
このようにそれぞれの項目で一つずつもしくは、他の安全対策をすることでやむを得ず飛行経路として第三者(操縦者や飛行補助者以外の人)の上空を飛行させることが可能になります。とはいえ、上記した意外にもイベント主催者との連携や、補助者の増員などで安全計画をしっかりと練った上での飛行を心がけてください。
この要件の中で特に難しいのがハード的にクリアしなければならないバッテリーの並列化でしょうか。僕が知りうる限りではDJIのinspire2かMATRICE 200シリーズがデュアルバッテリーでの安全対策が取られています。また、MATRICE 210(産業用ドローン)にはデュアルカメラを搭載できるようになっていて、産業用だけではなく空撮にも活用できる期待だと思っています。
イベント上空での飛行や空撮は包括申請ではなく個別申請を取得する
滋賀県で2017年11月に起こった事故でイベント上空での飛行の規制がますます厳しいものに変わりそうです。現在は飛行場所を特定した上での個別申請での許可・承認で統一されています。
あとがき…
今後も事故などの事例が増えるに従い飛行ルールも少しづつ整ってくると思います。まだ、ドローンを取り巻く法規制は緩いと言わざるを得ない状況なので、飛行させる際には近隣や飛行ルールに配慮し、安全対策をしっかりとして飛行させるようにしましょう。