日本も高齢化社会が進み第一次産業である農業もなり手が少なくなり、産業機械の活用や昨今ではドローンの産業への活用も注目されています。
このページではドローンの農業への活用や、どうすればドローンを飛行させられるのか。国土交通省や農林水産省のWebサイトを見てもわかりづらいので、少しづつまとめていきたいと思います。
農業用ドローンの活用法
農業用ドローンが注目されている分野は、主に農薬散布が取りざたされていますが、ほかにも肥料散布や種子の散布、除草剤の散布などにも活用され始めています。農業以外にも転用できそうなのが融雪剤の散布でしょうか。
また、オペレーターが随時コントロールするのではなく、自動航行によるオートメーション化もすすめられており、今後ますます発展していく分野だと思います。
農業用ドローンに必要な知識
農業ドローンの価格は安いものでも100万円~
農薬散布ドローンの価格ですが、今後主流になるであろう10リッターもでるのDJI”AGRAS MG-1”でも機体だけで180万円で、DJIのオペレーター研修や予備バッテリーなども含めて考えると、運用開始までに200万円程度は予算を準備しておいたほうがいいかもしれません。
ちなみに農薬散布用ヘリコプター(燃料エンジン機500cc)の価格が1000万ほどします。また、エンジン機のローターの回転力はドローンの比較にはならないくらいパワフルなので、初心者が扱うのは厳しいと言わざるを得ません。
農業用途のドローン購入には助成金(経営体育成支援)やスーパーL資金を活用
産業用ドローンは農業ドローンに限らずとても高価で、機体だけでも機種によっては数百万円します。
農林水産省の実施している経営体育成支援は一定の審査もありますし、設備投資に1~3割の助成があります。しかし、3割の助成金が出るにせよ、計画書の準備や審査が終わるまでに下手したら1年がかりなんてこともあるので、認定農業者であればスーパーL資金などの融資も視野にいれてみてはいかがでしょうか。
散布用の農薬について
農業用途に使用する場合には、一番に知っておかなければならないのが、農薬の存在でしょう。農業をやられていればご存知かとは思いますが、農薬は毒物なので農薬取締法により厳しく管理されています。
産業用無人航空機用農薬(ラジコンヘリ・マルチコプター)の最新情報を扱うWebサイトの存在は抑えておきましょう。
国土交通省の許可・承認について
ドローンを農業で活用する場合にまず思いつくのは農薬散布でしょう。農薬散布をする場合に許可・承認を取らなければなりません。農薬は危険物扱いなので危険物の輸送をすることになるのと、撒く場合にはドローンから噴霧するかたちになるので、物件投下の許可での申請も必要になります。
上記以外ですと、日の出前・日の入り後に肥料や除草剤の散布をする場合には夜間飛行の申請。畑や水田に農機具小屋や近隣の住宅、電柱などの工作物があり30m以上はなれて飛行できない場合には、近接飛行(工作物から30m以内の飛行)の許可の必要性も出てきます。
まとめてみると
- 危険物輸送
- 物件投下
- 夜間飛行
- 近接飛行
以上が想定される必要な申請です。
農業ドローンの免許(資格)はなく必要なのは許可
農業用途にドローンを使用する場合でも特に免許のようなものは必要なく、最低限必要なのはドローン(無人航空機)の飛行許可で、前項のもの意外にDID地区(人口密集地)の場合にはDID地区での飛行許可も必要になってきます。
法律上は産業用ドローンの農薬散布について免許は存在しないのが事実なんです。
農林水産省の指針について
農林水産省が農薬散布等にさいして「 空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」を出していますが、指針の中ではあたかも”農林協が性能確認をしたドローンを利用しなければならない”と誤解を招くような書き方をしています。
結論から言うと”性能確認を受けていなくても農薬散布等での飛行は問題ない”というのが真実です。
指針の中では農水協が実施している”性能確認”と”技能認定者”とういう言葉がでてきますが、あくまでも指針なんです。しかし、安全配慮の観点からはとてもしっかりとした指針なので、しっかりと目を通して安全運用を心がけましょう。
外部リンク:空中散布等における無人航空機利用技術指導指針
この指針の中で注目したいのが次に上げる3点です
- オペレーター(無人航空機を飛行させる者)は、空中散布等に用いられる機種の操縦技術に習熟しており、かつ、無人航空機を用いた農薬等の散布に関する技術及び無人航空機の安全な飛行に関する知識を修得している者として登録認定等機関の認定を受けたものであること。
- 機体は、安全かつ適正な空中散布等を実施するために必要な性能を有し、かつ、保守及び整備のための体制が整備されているものとして技術指導指針に規定する機種であって、登録認定等機関による登録がなされ、かつ適切に定期点検が行われたものであること。
- 無人航空機を利用した農薬散布は、効率的病害虫防除を実施できる反面、人畜、農林水産物、周辺環境等に対する安全性の確保に万全を期す必要があるため、下記のチェックポイントを参考に、散布予定区域内を十分に確認し、万全の危被害防止対策を取ること。
上記のことを確認して、都道府県庁の病害虫防除所へお問い合わせください。
外部リンク:都道府県病害虫防除所
農水協(農林水産航空協会)の業務について
農水協はドローンを含む無人航空機の農業への活用と、安全に飛行するためのガイドラインを作成している団体で、あくまでも農水省の外郭団体であるということです。
※外郭団体とは官公庁の組織の外にありながら、その官公庁から出資・補助金を受けるなどして補完的な業務をおこなう団体のこと
農水協がおこなっているのは、性能確認や各種基準の制定、安全対策、ガイドラインなどの作成をしています。
- オペレーターの技能認定(認定スクールの指定・オペレーターや指導員の認定)
- 無人航空機の空中散布における性能の確認および登録(性能確認)
- 飛行許可の代理申請
以上が農水協で行われている窓口業務です。
さいごに
ドローンを含む無人航空機での散布(農薬・肥料)を行う場合でも国土交通省の許可承認はかかせません。
いちばん大切なのは事故を起こさないにあります。事故を起こさないよう飛行ルールや農林水産省の指針に準拠するように運用していきましょう。